住所不定有職/いとう みな

アラサー会社員の個人的見解

地毛で生きられる期間は限られてる

20代前半までは、明るい茶色に髪を染めていた。友達もそうしていたし、そのほうがおしゃれなり、活動的に見えたりするかなと思って。

就職して、好きなタイミングで美容院に行くのが難しくなり、根元が伸びるのや色抜けを気にするのが嫌になってカラーリング自体をやめた。以来もう何年も染めてない。その方が手入れが楽だし、傷みも少ない。

最近になって、友人や会社の先輩の頭に一筋二筋、白いものがほのかに混じっているのを連続して目撃し、完全に「地毛(じげ)」「自毛(じもう)」と呼ばれる状態で生きられるのは人生でも限られた期間なのだと気づいた。

平均して30代後半から白髪が目立つようになり、40代では白髪染めが普通になるようだから、地毛を謳歌できるのは35歳くらいまでだろうか。個人差は大きいが、薄毛の問題も出てくる。85歳まで生きるとして、天与の色彩の毛髪で過ごせるのは1/2以下なのだ。そう思い至ると、10代後半から20代の数年間、ヘアカラーをごく普通の行為としていたことが、少し勿体無く思えてきた。

 白髪を染める是非について、私には判断がつかない。こだわりがない以上、多数派に従い一定年齢まで黒染めをして過ごすことになるのだろう。おそらく40歳から退職まで、15〜30年くらいになるだろうか。

 

野生動物と異なり、老化しても社会という群れから離れず老後を迎える生物として、髪や肌や歯が衰えていくことを人工的に補填することが人間にとっては自然な行為になっている。若々しくあることが義務ようになっていることを、批判する向きもちらほらあるけど、まだ一般的ではないし、そこを強く主張して行動に移すまでには、まだ自分の意見を固められていない。

せめて白髪までの残された数年間は「天然毛」でいようと思う。